森山さんのお話をうかがいながら、昨年度、まちづくりワークショップの講師としてお迎えした佐原商工会議所事務局長である椎名喜予さんのお顔とお話も思い浮かんでいました。

御祓川と小野川。
どちらも町の中を流れる「川」が、まちづくりの象徴になっています。

御祓川では、昔、年2回6月最終日と12月最終日に大祓いという神事を行っていました。
人形(ひとがた)に託して、人間についている罪を流すものだそうで、川の神さまから、海の神様へ、そしてそれを風の神様が巻き上げ、大地の神様へ。大地の神様がうごめているうちに罪がなくなる、と思われていたそうです。

その後、生活の変化で町の中の「川」は汚れていきます。
全国で都市化が進み、いわゆる「臭いものに蓋をする」という発想のもと、川を埋め立てるなど、まちの景色を変えた自治体も多くありました。

約20年前。当時、県内一汚染が酷いと言われた「御祓川」に対して、七尾市民は「川を再生する」という選択をします。町の中央を流れる御祓川を、まちが抱えている地域課題の象徴ととらえ、民間街づくり会社の設立で解決しようとする覚悟を示します。

「先代たちは、汚いものを見えないものにしてしまおうの時代から、汚いものに手をつけて 向き合って、関係を取り戻していこうとした。」
森山さんの言葉には、志を受け継ぐものの清々とした潔さがありました。

(株)御祓川の業務内容は、上記の図の通り3つの柱をもちます。

「まち育て」では、地域の資源を活かし守る事業を、「みせ育て」では、地域の経済循環を創り出す事業を、そしてひと育てで、地域の担い手を育て続ける事業に取り組んでおり、長期実践型インターンシップ事業は、「ひと育て」の中の一事業という位置づけです。

インターンシップという言葉では、「なかなか伝わらないので、能登留学という名前にした」そうですが、企業インターンと、地域課題の解決に取り組む集落型インターンのどちらも受け入れ側の満足度は高く、森山さんご自身「あきらめかけた人が変わる瞬間」を幾度となく見て、そこがやりがいになっているといいます。

(つづく)

【事務局_B】