銚子円卓会議インターンの増田です。

 

先日、東京新宿にあるJA東京アグリパークで開催されていた農福連携のセミナーに参加してきました。全5回のセミナーで、私が参加した回は、特例子会社による農福連携活動についての講演でした。各会社のトップがそれぞれ来て講演を行いました。他の4回ではJAや農業経営体、社会福祉事業体などの様々な主体による取り組み内容の講演が行われていた模様です。

 

まず「特例子会社」と「農福連携」について簡単に説明します。企業には、障がい者の方を雇う義務があります。しかし、法律で決められた法定雇用者率を達成できている企業は多くありません。そこで、障がい者の雇用促進と安定のため、雇用にあたって特別な配慮をする子会社(=特例子会社)を設立することで、認定を受ければ親会社およびグループ全体の障害者雇用分として実雇用率を算定することができるという仕組みになっています。そして、特例子会社で何の事業をしていこうかと考えた時に注目されたのが「農福連携」です。農福連携は、障がい者等が農業分野で活躍することでの就労や生きがいを生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もあるとして期待されています。

今まで「農福連携」の事例は大学の講義で何度か耳にしていたものの、実際の現場の声を聞く機会はありませんでした。JA東京アグリパークのInstagramで偶然このセミナーが開催されることを知り、何か新しい発見があるのではないかと思い参加することにしました。私はこのセミナーに参加するまでは「障がい」と聞くと「大変そう」「かわいそう」などネガティブなイメージを持つことが多かったように思います。ただ、それは言葉のイメージだけで“何が”大変でかわいそうなのか深く考えたことはありませんでした。

 

今回講演していた特例子会社(パーソルサンクス/帝人ソレイユ)では精神的、知的なハンディキャップのある方が多く就労しているそうです。講演の中でも特に印象に残っているのが、ひとりひとりの障がいによって向いている作業があり、その作業に専念してもらうというもの。例えば、帝人ソレイユで行っている胡蝶蘭の栽培では、水やり、花の管理、仕立てなどたくさんの工程があります。その中で、単純作業が得意な人には水やりだけに専念してもらう、精神的に不安を感じやすい人には、心配性を逆手に取りこまめに花のチェックをする花の管理を、手先が器用な人には仕立てを、といったように分業しているそうです。

個々の得意分野を最大限活かしたやり方で、それぞれの作業があるからこそ成り立っており、一人一人の存在が欠かせません。

 

「障がいは個性であり、そこから才能を見出だすことは出来る、そしてその才能を見出すのが私たちの仕事だ」

「こんなに楽しそうに働いている社員は他にいないでしょう」

 

そう力強く話す大人たちの姿はとても格好良かったです。

今回セミナーに参加して今まで私が持っていた「大変そう」「かわいそう」という根拠のない思いは完全に無くなりました。そして障がいは個性であること、才能であると考え方もその通りだと思い、今までの考え方がガラリと変わりました。誰にでも得意なことや苦手なことがあるのに「障がい」というレッテルがあるだけで、できないことばかりに目を向けてしまっていたなと思いました。また、「農福連携」に関わる良い面・課題点、そして「企業として利益も出していかなければならない」などリアルな声を聞けて、実態を身近に感じることができました。

普段学んでいることに一歩深く足を踏み込めた機会であり、自分の考えを見直すことのできたセミナーでした。

2021 銚子円卓会議インターン 増田有寿

(*写真はいずれもイメージで原稿の内容とは関係がありません。)